ドバイ フリーゾーン完全ガイド② メインランドとの違いを解説

はじめに:なぜ今でもフリーゾーンが選ばれるのか

近年、UAEでは多くの業態でメインランド(オンショア)でも外資100%での法人設立が可能になりました。しかし、それでもドバイのフリーゾーンは依然として人気の設立先となっています。その理由は何でしょうか。

フリーゾーンには、税制優遇措置、シンプルな設立手続き、ビザ取得の容易さなど、メインランドにはない独特のメリットがあります。特に海外企業の中東進出拠点として、また国際的なビジネス展開の足がかりとして、フリーゾーンの価値は今なお高く評価されています。

前の記事ではUAEのフリーゾーンについてを詳しくまとめました。合わせてご覧ください。

フリーゾーンとメインランドの根本的な違い

事業活動範囲の制限

最も重要な違いは、事業活動を行える範囲です。メインランドライセンスがないと、UAEメインランドでの小売業、流通業、飲食店経営はできません。これは法的な制限であり、フリーゾーン企業がこれらの分野で直接ビジネスを行うことは不可能です。

同様に、不動産仲介業など、メインランドでの主要なビジネス活動を行う業態にはフリーゾーンは向いていません。これらの業種で本格的にUAE市場に参入したい場合は、メインランドでの法人設立を検討する必要があります。

オンライン完結型ビジネスの可能性

一方で、オンラインで業務が完結するサービス業については、サービス提供先が国内であっても問題ないケースがあります。コンサルティング、ITサービス、デジタルマーケティングなどがその例です。ただし、具体的な事業内容によって判断が分かれるため、詳細についてはぜひご相談ください。

税制と規制の違い

税制面では、フリーゾーン企業は一定条件下で法人税0%の恩恵を受けることができます。この条件や最新の税制情報については、別途詳しい記事で解説していますので、そちらをご参照ください。

メインランド企業は9%の法人税が原則として適用されますが、その代わりUAE国内での事業活動に制限がありません。どちらを選ぶべきかは、ビジネスモデルと長期的な戦略によって決まります。

複合的なアプローチ:フリーゾーンとメインランドの使い分け

本社・支店戦略の活用

実際のビジネス展開では、フリーゾーンかメインランドかの二者択一ではなく、両方を戦略的に活用するケースもあります。

現在でもメインランドでは、弁護士事務所や石油関連事業など、現地資本の参画なしには設立できない業種が存在します。こうした規制業種に対応するため、多くの企業が採用しているのが「本社フリーゾーン、支店メインランド」の戦略です。

この手法では、まずフリーゾーンに本社機能を持つ法人を設立し、その後メインランドに支店を開設します。これにより、フリーゾーンの税制メリットを享受しながら、メインランドでのビジネス活動も可能になります。

代理店・販売網の戦略的活用

フリーゾーン企業がUAEメインランドで商品を販売したい場合、直接販売はできませんが、現地の流通代理店を通じた販売は可能です。

この手法は特に製造業や輸入業で一般的で、フリーゾーン企業が商品の輸入・保管・輸出を担当し、メインランドの代理店が現地市場での販売を行います。代理店との契約形態も様々で、独占代理店契約から複数代理店制まで、商品の特性や市場戦略に応じて選択できます。

例えば、日本の食品メーカーがJAFZAに輸入拠点を設置し、ドバイの複数のスーパーマーケットチェーンと代理店契約を結ぶケースなどがあります。これにより、フリーゾーンの保税メリットを活かしながら、UAE全土での販売網を構築することが可能です。

業態別の最適化戦略

サービス業の場合

  • コンサルティング:フリーゾーン設立で国際案件に集中
  • 貿易業:*指定フリーゾーンでの設立が税務上最適

製造・流通業の場合

  • 製造拠点:フリーゾーンで製造、代理店経由で販売
  • 小売業:メインランド設立が必須、またはフランチャイズ形式の検討
  • 物流業:JAFZAなど指定フリーゾーンが最適解

*指定フリーゾーン・・・FTA(国税庁)が定めたフェンスなどで囲まれた保税エリアを有するフリーゾーン。FTAページ

専門的なアドバイスの重要性

多様な選択肢の存在

ここまで見てきたように、UAE進出には実に多様なアプローチが存在します。フリーゾーン単体、メインランド単体だけでなく、両方の組み合わせ、代理店の活用、支店・駐在員事務所の設置など、ビジネスモデルに応じて最適解は大きく異なります。

また、同じ業種でも、ターゲット市場、事業規模、将来の展開計画によって推奨される設立形態は変わってきます。例えば、IT企業でも、ローカル市場向けのサービス提供なのか、中東全体をカバーするハブ機能なのかで、選ぶべきフリーゾーンや設立戦略は大きく変わります。

プロフェッショナルなサポートの必要性

こうした複雑な選択肢の中から最適解を見つけるためには、経験豊富なコンサルティング会社との相談が不可欠です。特に以下の点について専門的なアドバイスを受けることが重要です:

  1. 最新の法規制動向:UAE の法規制は頻繁に更新されるため、最新情報の把握が必要
  2. 税務最適化:法人税0%の条件や、将来的な税制変更への対応策
  3. ビザ戦略:必要なビザ数や家族ビザの要件に応じた最適なフリーゾーン選択
  4. 長期的な事業展開:将来の事業拡大を見据えた柔軟性のある設立戦略

まとめ:成功への第一歩

ドバイ進出を成功させるためには、「とりあえずフリーゾーンに設立する」のではなく、自社のビジネスモデルと将来構想に最適化された戦略を策定することが重要です。

フリーゾーンとメインランドそれぞれの特性を理解し、時には両方を組み合わせた戦略的アプローチを取ることで、税制メリットを最大化しながら事業機会も拡大することができます。

色々なやり方やアプローチが存在するからこそ、一度専門のコンサルティング会社と詳しく話し合うことをお勧めします。あなたの事業に最適な UAE 進出戦略を、一緒に考えてみませんか。

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